【肉体(身体)】
解剖学的知識に基づき、自分の身体をより良く理解した上での能動的なレッスンが上達へのポイント。
骨格イメージがつかめているとトラブルも未然に防げます。
また、動きのメカニズムを把握しながら、より美しいラインやよりなめらかな動きへの探究心が踊りの芸術性を高めていきます。
身体を総体的に理解しながらのレッスン、自分で考え動くことが、目指すムーブメント獲得のプロセスです。
解剖学的知識
基本的な骨格の仕組みや骨と筋肉との繋がり、また骨格と内臓との関連性や成長期特有の変化など、
身体を総体的に理解することはバレエのみならず健康保持の観点からも必要不可欠な知識です。
また、人体骨格模型や関連書籍などからの一般的かつ専門的な知識の習得は、将来においても自分の糧となっていきます。
自己の肉体への理解度
解剖学的知識を頭に入れることで、自己の肉体への理解が深まります。この理解は非常に重要です。
まずは自分の身体に興味を持ち、身体への意識を高めること。
また、身体の変化に対し敏感になることでトラブルを未然に防いだり、セルフケアも充実してきます。
能動的なレッスン
講師からの注意やアドバイスに耳を傾けることはもちろん、身体作りの点において、受け身ではなく
様々な知識を習得した上での能動的なレッスンが身体を変えていきます。
特にターンアウトという身体感覚を習得するには自分で考え動くことが大切です。
動きのメカニズムの把握
一つずつの動作に対し、それがどのような身体の仕組みでそうなるのか、関節と筋肉をどのように動かすのか。
バレエの動きをそういったボディベースで把握すること。
このことは、無駄な力や筋肉の負担を軽減することに繋がる、とても重要な知識要素です。
ラインや動きへの探究心
自分が目指すラインや動き(ムーブメント)のイメージを持ち、それに対する探究心をもつ姿勢が身体スキルを高めます。
まずは自分でしっかりとしたイメージを持ち、現状を把握した上で身体構造に則って動いていくことで
目指すムーブメントの習得に近づいていきます。
【理論(知識)】---バレエを思考する---
理論や知識からのアプローチは踊りをより深く理解するためにとても重要。
主要なバレエ作品やその一つづつの踊りの背景を知ることはもちろん、
パやステップ一つ一つに於いても、その意味や的確な動きを理解し行うことで動きの質が高まります。
また舞台という空間を使って動く時の空間概念は図形の知識なくしては得られないもの。
さらには床との摩擦や移動する速度や力には物理的思考力が手助けになります。
バレエ作品の理解
古典作品の理解はバレエを行う上で、最重要不可欠知識。ベーシックな踊りはこの古典作品からの抜粋がほとんど。
まずは古典作品の音楽知識や作品のストーリーの知識を踏まえ、解釈を行いそれを表現していくこと。
この基本部分をきちんと押さえた上で踊っていくことが原則です。
踊りの背景の知識
大きな作品の中での一つ一つの踊りにも、それぞれ場面設定や意味合いがあり、
そこを抜粋したときにどれだけ表現できるかは、基礎知識があってこそ。
基礎知識+解釈=表現。
ここにたどり着くために、数ある作品の様々な背景知識を身につけることで踊りの幅が広められます。
パやステップの理解
パ、ステップ、それぞれにも一つずつ意味があります。
名前を覚えていくことはもちろん、それと同時に意味や動きの本質を覚えることが大切。
ただやみくもに行うのではなく、理解した上で行うことが、動き一つ一つの質を向上させます。
空間把握の概念
舞台空間は たて・よこ・高さ の三次元。立体図形の知識とイメージが空間認知能力に繋がります。
特に奥行きの概念は踊りに空間の拡がりを持たせます。
さらには自分の身体の向きを正確に取るためにも、基本の角度を正確に理解しておくことが重要。
バレエの基本の型を正確にポジショニングするためにもこの図形的要素がとても大切です。
物理的思考力
自分(という物体)が動くこと。物体の運動には質量や力が関係しています。
物理的思考を用いて「運動」を思考する、バレエの新たな側面が見えてきます。
また、床との摩擦なども物理的要素。バレエシューズとトゥシューズの床に対する摩擦力が違うのは何故なのか?
バレエを思考する。
ここに新しい世界が拡がります。
【感性(感覚)】
芸術的感性は個人のパーソナリティが色濃く反映されるもの。
いかに多くのジャンルの芸術作品や文化に触れたのか、という経験の蓄積こそが個々の芸術的感性を磨いていきます。
敏感なアンテナで、森羅万象を含めた様々な物象に目を向け、音楽・アート・詩的などの側面において自分なりの感性を身につけ、
バレエに反映させていく姿勢が芸術表現の探究の在り方だと考えます。
舞台芸術への積極的な意識
自分が舞台に立つ、という観点からも、様々な舞台芸術への積極的な意識を持つことは非常に重要です。
観客として外から客観的に「観る」ことで、自分が舞台に上がった時にどう「観える」のかが意識できるようになります。
バレエだけでなく、生の舞台をどんどん観て、ステージから沢山のことを学んでこそ自分の表現を生み出せます。
他ジャンルの文化経験
一つのことだけにしか目を向けないでいると視野が狭くなりがち。
あらゆるジャンルの文化・芸術に目を向け、さらにはそれを積極的に経験していくことで視野が広がります。
興味を分散してしまうのではなく、経験をバレエに引き戻して応用できるかがカギになります。
音楽的センス
バレエにとって音楽は切っても切り離せない存在。
沢山の音楽に触れて馴染み音楽センスを身につけていくことが踊りを深めます。
まずは基本的なカウントの取り方から、一つの曲に対する解釈まで幅を広げて。
ジャンルを問わずどんどん聴くことが音楽センスアップの第一歩です。
アートな感性
視覚的な要素が強いバレエ。動きの美しさだけでなく、静止している場面は一種のアート。
静止(ポーズ)をより美しく魅せていくためにも、アーティスティックな感性を養い、衣装からメイクに至るまで、
色々な分野で自分の「魅せ方」を工夫しながら個性を見つけていきます。
詩的な感覚(poesie)
詩の趣がある、詩のように美しいさま。これぞバレエの醍醐味。
言葉を使わないバレエは手足の動き一つ一つで感情を表します。ここに詩的な趣を表せるかどうか、感性の問われます。
まずは詩的な趣を理解するところから。
芸術的自己表現、バレエに於いてのアイデンティティの確立は誰もが目指す最終局面であり永遠のテーマです。